意外と知らない猫の柄の秘密
我が家に保護猫出身のの「きなこ」と「よもぎ」が来て1年の月日が過ぎました。
これまでに一度も猫と暮らしたこともなければ、周りでも猫と暮らしている人がいなかったこともあり、僕は猫といういきもののことをほとんど知らずに生きてきました。
しかしきなことよもぎが我が家の一員になってからというもの日々あたらしい発見があるわあるわ。猫の性格や習性が見て取れる行動の数々に目を丸くすることもたびたび。
兄のきなこは顔半分(ちょうど鼻梁の真ん中あたり)から下が白い『茶しろ』で、弟のよもぎはというとあごの一部以外がすべてトラ柄になっている『茶とら』です。
兄弟猫なのにここまで柄が違うっていったい何故なんだろうか?と疑問に思い、自分なりに調べてみると、猫の柄には色々と「条件」があるということがわかりました‥!
分かりやすく説明していこうと思いますので最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
もくじ
猫の柄を決定するものは?
そもそも人間の見た目はいったいどのようにして決まっているのでしょうか?目の大きさ、鼻の高さや口の大きさなどは個人差はあっても「両親の遺伝子」によって決まってきます。結論からいうと人間と同じく猫の柄は遺伝によるものなのです。
猫も人間の遺伝と同じで親となる雄と雌との遺伝子を組み合わせた結果、その柄が決まります。
猫の柄を決める要素は【毛色の遺伝子】と【模様の遺伝子】とがあり、【毛色】は明るい茶色・黒・白の3種類の色があり、色の濃さによってレッドやシルバー、ブルーに派生的に分かれていきます。
そこにしま柄やぶちなどの【模様の遺伝子】が加わることによって、バリエーションに富んだ柄が出てくるというわけなんですね。
この【毛色】と【模様】を決定する遺伝子は数にして20個以上もあるといわれていて、同じ親猫から生まれた兄弟であっても色や柄に違いが現れます。
それだけではなくメス猫は1回の妊娠で複数のオスの子供を同時に産むことができてしまうんです。びっくりです。なので同じ母親から産まれた兄弟でも『毛色』や『模様』が全く違ってくることもあり得るのです。
さらに遺伝子が孫の世代で現れる隔世遺伝というものもあり、産まれてくる子猫の柄を予想するのは大変に難しいことだといえるでしょう。
たとえば‥
純血の白猫(遺伝子WW)と(遺伝子BBとなる)黒猫が子を産んだ場合、子供はWBの遺伝子を継承することになり、優性の遺伝子であるWを1つでも保有していれば白猫になるため、子の世代では黒猫(遺伝子BB)は産まれません。
しかし、孫の世代にあたるWBの遺伝子を持った猫どうしの子供の場合は、25%という確率でBBの遺伝子を持つ黒猫の子猫が産まれるんですね。
たとえ表面化していなくても持っている遺伝子の優劣(白>黒、茶)で柄が決定するということになります。
模様のルーツとは?
そもそも猫の柄の起源とはいったいどこにあるのでしょう?
今では様々な毛色、模様の猫がいますが、もともとの模様は1種類だといわれています。オドロキですよね。それは砂漠に生息していた『茶系のしま柄』で、天敵から身を隠すため砂の色に溶け込みやすい色になったのです。
たとえ突然変異で色の違う猫が産まれたとしても、保護色ではない身体は目立ちやすく天敵に狙われてしまうため、長生きすることができませんでした。
人間の歴史のなかで猫を飼育する文化が生まれ、保護されるようになってから、現在にみられるような毛色や模様が増えてきたというわけです。
柄の現れ方に法則ってあるの?
猫の『毛色』『模様』の種類は猫の数だけあるということは分かってもらえたと思います。そして模様がどのようにしてつくのかには、一定の『法則』があるのです。
「上から下に模様がつく」法則
猫好きの方なら黒い背中に白いおなかという猫を見たことがあると思います。ですが、逆のパターンの白い背中に黒いおなかという猫は見たことがないはずです。
このように白をベースに背中からおなかにかけて色が現れるというのがこの法則です。色がどこまで現れるかの違いで「全身黒で足先だけ靴下のように白い猫」が産まれるのもこの法則によるものなのですね。
柄は「顔やしっぽにハッキリ出やすい」という法則
顔のなかでもとりわけ鼻の周りや頭の部分には模様が出やすいといわれています。
ハチ割れの柄や鼻の周りにおヒゲのように色のついた柄、耳周りだけ色のある猫などはこの「顔やしっぽに出やすい」法則によるものです。
うんちく
うんちくその1・三毛猫のほとんどはメス
日本人にはなじみの深い白をベースにに黒、茶色の柄が混在した「三毛猫」ですが、ほとんどがメスだって知っていましたか?
三毛猫の条件は『毛色』を黒にする遺伝子と茶色にする遺伝子があることです。生物学的にいうと生き物の染色体にはXとYが存在し、Xを2本持つとメスに、Yを2本もつとオスになります。
毛を黒にする遺伝子と茶色にする遺伝子はそれぞれ別のXの遺伝子に特有のものであるためXX(黒X+茶X=三毛猫)の条件を満たす場合、メスとして産まれてくるわけです。
X染色体を2本持つ「XXY」(黒X+茶X+オスのY)の猫が条件を満たした場合のみ、オスの三毛猫が誕生することになります。その確率はなんと3万分の1というからおどろきです。
あまりの珍しさからか、昔の日本では船の守り神だとされる文化もあったのだとか。
うんちくその2・体温で現れる柄もある
猫の柄にはシールポイントと呼ばれる、耳や顔、足先の部分やしっぽの先だけのいわゆる先端部分にのみ色がついた模様があります。代表的な例ではご存じの方も多いシャム猫がこの模様をしています。
しかし、このシールポイントは産まれてきたばかりの子猫には現れず、成長するにしたがって、個体差はあれど身体の先端部分にだけ色がつき、生後1ヶ月ほどで皆さんの知っている姿となります。
シャム猫の毛のなかの色素は温度が低くなるに従って黒くなっていくという特徴があり、産まれたばかりの子猫のころには体温が高いために全身が同じ色をしていても、成長による体温の安定とともに末端が黒くなっていくのだそうです。
なので寒いところで飼われていたり、高齢で体温が低くなった猫は全身が黒っぽくなるという事例もあるようです。
まとめ
・『毛色』と『模様』の遺伝子の組み合わせで柄がきまる
・もともとは「茶系のしま柄」の1色のみだった
・上から下へと模様がついていく
・柄は「顔やしっぽに出やすい」
おわりに
「愛護動物」として人と共生するようになることであらわれた「柄」。
それぞれに魅力的で優劣をつけられるものではないと思っています。その「柄」や「模様」、「身体的特徴」に一喜一憂する傾向なり文化は、ある種の危険性をはらんでいることを知る必要があります。
突然変異で産まれた個体どうしをかけあわせたり、偶然発生した身体的特徴を助長していく交配など、病気や短命などのリスクを負ってまで個性を得た猫もいるのだということを忘れないでほしいと思います。
最後までおつきあいいただきありがとうございました。