愛猫のフード選びで気をつけたいこと
猫の飼い主なら誰しも、愛する猫のために健康管理には気をつけてあげたいものですよね。今回は猫の健康維持のためにとても重要な【フード選び】についての記事です。
近年のめまぐるしい医療の進歩や、健康にとってよい影響を与えるフードの研究、開発などにより猫の平均的な寿命は延びてきている傾向にあります。驚くことに、なかには20歳(人間の年齢に換算すると100歳超!)を超えてなお元気に毎日を過ごしているという健康な猫もいるそうです。ですが本来、猫は病気にかかりやすい動物であることが指摘されています。
猫の健康で穏やかな生活のために「してあげられることはできる限りしてあげたい!」という想いをもった飼い主さんはたくさんおられることでしょう。
そこで飼い主が具体的に何をしてあげられるかという話になるわけですが、猫の健康管理に必要なポイントは『病気の予防』『健康促進』の2点に要約することができます。
・『病気の予防』はさらに「予防」と「治療」、「療養」に分けられます。
・『健康促進』は「食事」と「環境」に分けることができます。
ここでは『健康促進』のうちの「食事」に関する注意点をいくつかの項目ごとにご紹介します。
もくじ
猫の健康維持に必要な栄養素
人間が食事をすることによってタンパク質やミネラル、ビタミンや必須アミノ酸などの多くの栄養素を摂取し、その身体を生成していくように猫にとっても身体の生成に必要なエネルギーは食事をすることによって取り込む必要があります。
猫に必要な栄養素は大きく5つに分類されます。
タンパク質
猫の身体の元でもありエネルギー源にもなる、とても重要な栄養成分です。
炭水化物
活動をするための直接的なエネルギー源であり、体内にグリコーゲン(動物性デンプンともよばれる)として貯蔵され、必要に応じて消費されます。
脂肪
脂肪はタンパク質や炭水化物とならんで大きなエネルギーの源となり、活動するうえで重要な位置を占めますが摂取しすぎると肥満につながるというリスクもあります。
ミネラル
カルシウムやナトリウムなどの「主要ミネラル」と鉄やフッ素などの「微量ミネラル」の2つに分類され、骨や毛髪に欠かせなかったり爪の生成にも重要な役割をもっています。
ビタミン
ビタミンには身体の調子を整えてくれるという作用があり、『水溶性ビタミン』(ビタミンB・C)と『脂溶性ビタミン』(ビタミンA・D・E・K)の2つに分類することができます。
猫に与えてはいけない食物
前項で紹介した5つの栄養素ですが、どんな食べ物からでも摂取しさえすればいいというものではありません。以下に挙げる一覧にあるように猫には与えてはいけない食べ物が複数存在します。
・ネギ類すべて
・チョコレート(ココアも含む)
・スパイス全般
・生(未加熱)のイカやタコ、エビ
・アワビやサザエの肝の部位
・生卵(よく加熱すれば可)
・生の豚肉(よく加熱すれば可)
・骨などが挙げられます。
人間にとってはとくべつ害のない食品でも猫が口にすると有毒な食べ物である場合もあり、人間と比較して身体の大きくない猫にとっては、それがたとえ少量であっても命にかかわる場合もあるのです。
猫に与えることが好ましくない添加物
キャットフードにはメーカーごとに様々な特色があります。「安価であること」「食いつきがいいこと」のために、他でもない「健康促進」が犠牲になっている場合も多いのです。以下に挙げるのは猫に与えることが好ましくない「食品添加物」です。
・家禽ミール・ミートミール
※事項で詳しく解説します。
・ビートパルプ
サトウキビと並ぶ砂糖の主原料である甜菜(てんさい)から当分を絞ったあとに残る(いわば残りかすの)繊維質のことです。薬剤を使用して砂糖を絞り出すことが多く、ビートパルプにも薬剤が残留している可能性があります。
・ダイジェスト
旨味成分であるアミノ酸を得るために、肉を構成するタンパク質を半消化状態にしたもののことです。フードへの食いつきのために表面にスプレーされます。「加水分解物」と表記されることも。食肉加工の課程で出た廃棄部位に大量の水と薬品などを加えることで生成され、酸化防止剤も配合されることが多いため、猫の健康を考えると与えるのは好ましくない添加物といえます。
・動物性油脂
動物性油脂とだけ表記されている場合は注意が必要です。死骸の処理過程で出たものであったり、記載できないような動物の脂である場合もあります。
・塩、塩化ナトリウム(Na)
猫にとって必須の栄養素ですが、フードの原料となる肉や野菜などに含まていれる微量な塩分で十分であり、添加する必要のないものです。過剰な塩分の摂取は脱水症状や心臓や腎臓に負担をかけてしまうことになります。
・香料
乾燥させているためにおいの少ないドライタイプのフードによく使われています。食欲を刺激する目的によるものですが、香辛料自体が猫の健康にとってよい成分ではありません。
・保存料、着色剤、酸化防止剤
※事項で詳しく解説します。
家禽ミールとはなにか?
『家禽ミール』というのは広く一般的には「肉と皮、骨を使用した鳥類の乾燥させた肉」のことです。
家禽(かきん)とは飼育される鳥の総称で、種類は限定されていません。食用の鳥に限らず羽毛などを利用する目的で飼育される鳥類などもこれに含みます。鶏(チキンと書かれる場合もあり)や七面鳥(同様にターキーと書かれる場合もあり)といった表記ではなく家禽ミールと表記してある場合には注意が必要です。
家禽ミールの精製に使用されている家禽の部位はというと肉の部分だけではなく、骨や皮であったり、生産国によっては羽や足、頭、クチバシなどが含まれている場合があります。
そもそも野生だった猫は狩りによって捕まえた鳥を丸ごと食べる生き物なので、肉以外の部位が入っているからといって飼い猫の健康に悪影響があるとはいえません。問題なのは家禽ミールとして加工する際に加えられることがある「危険な添加物」であったり「薬剤」の方なのです。
劣悪な環境の工場では鳥類の死骸に大量の防腐剤を散布したり、ウジがわいたものもまとめて加工していたりという恐ろしいレポートもあるそうです。
ただ、「4Dミートを使用しない」などが盛り込まれたAAFCO(米国飼料検査官協会)の基準やガイドラインを遵守している生産者から原材料を仕入れているメーカーのものは安心、安全だといえるでしょう。購入を検討しているフードがある場合はメーカーの公式サイトに情報が載っていないか確認してみることをおすすめします。
※「4Dミート」とは
1.Dead→死骸の
2.Diseased→病気の
3.Dying→瀕死の
4.Disabled→障害のあった
肉のことを指してこのように呼びます。
保存料、着色剤、酸化防止剤とは?
保存料は「防腐剤」といわれることもあり、キャットフードが腐敗するを防ぐ(消費期限を引き延ばす)ことを目的として使用されます。長期保存や容量の多い袋での販売のために配合されます。
着色料はフードを鮮やか見えるように人工的に色をつける目的で使用されます。本来猫は食べ物を「色」ではなく「匂い」で判断するため食欲とはまったくの無関係なのです。ではなぜこの猫にとって好ましくない「着色料」が使用されるかというと、驚くことにただの「人間への見栄え」のためだけなのです。
酸化防止剤は人間の食品に対しては使用することを禁止されている成分も含まれています。当然猫の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。ドライフードよりも水分が多く酸化しやすいウェットフードによく使用されます。
保存料・着色料・酸化防止剤の一例
・BHA
・BHT
・エトキシキン
・二酸化チタン
・プロピレングリコール
・ソルビン酸
・増粘剤
・赤色〇号
・青色〇号
・黄色〇号
これらの原料がいくつも入っているようなフードはメーカーの公式HPで調べるなど、疑いの目を持った方がよさそうですね。
フード選びのポイント
「じゃあいったいどうやってフードを決めればいいの?」と不安に思う方もいることでしょう。愛する猫のために最適なフードを見つけるのはなかなか簡単なものではありません。
フード選びのポイントは‥
1.検査機関の基準を満たさない劣悪な(と思われる)「家禽ミール」を使用していないこと
2.複数の種類の「着色料や保存料、酸化防止剤」が入っていないこと
3.さらに猫が消化酵素をもたない「穀物」が入っていないものがおすすめ
4.遺伝子組み換え原料を使用していないもの
5.極端に安価なフードは成分をじっくり調べること
これらに要約されるといえるでしょう。
安さが売りのフードは疑ってかかるべきだと思いますが、なにも高級なフードを選んでおけば安心できるといったものでもありません。猫の健康のために取り組んでいること、いないことを把握した上で信頼できるメーカーを探してみることをおすすめします。
さらに、猫には幼年期や成年期、不妊・去勢手術後のカロリーコントロールから老年期までと、成長段階に合わせてフードを変えていく必要がありますが、各メーカーごとにそれぞれのタイプの商品をラインナップしているので安心できるメーカーのなかで移行していくことで猫にとってもストレスなく食事ができることでしょう。
この記事を読んで、いつも与えているフードの成分を見直していただく機会になればうれしく思います。また、これから猫とともに暮らしたいという方のフード選びの参考になったとしたらこんなに喜ばしいことはありません。
ぜひ、猫ちゃんとの幸せな日々が過ごせますように。
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最後までお読みいただきありがとうございました。