突如として現れた地域猫を観察する【5月5日~5月11日】
先日、住まいの近くにある地域猫たちのコミュニティに新参者の白い猫が現れたお話を記事にしました。今回は発見から1週間が経過した5月11日時点での記事となります。
日記ではなく時系列でまとめたクロニクルであり、ただの備忘録でもありますが観察のポイントにも触れているので読んで下さる方が何かを感じるところがあったなら嬉しく思います。
もくじ
5月6日
発見してから2日目の連休最終日となるこの日は出会うことができず。夕方16時にコミュニティのある場所に行くが現れず、近隣の公園や駐車場を見回りするもその姿を見せてくれることはなかった。
5月7日
仕事を終えて帰宅する時間(19時30分ごろ)に近隣を捜索、突如猫の鳴き声が聞こえてきて駐車場に駐車している車の下からこちらに向かって呼びかけている猫を発見。間違いない。あの日の猫だ。よく見ると白をベースにグレーや茶トラがらも入っている。
家にいる奥さんに連絡をしてフードを持ってきてもらうように頼む。
コミュニティの構成員である猫たちにはその見た目から「はち」「くろ」「さび」「きじ」などと便宜的に呼び名をつけており、クリーム色の見た目から「だいず」と呼ぶことに。
ひどくお腹が空いているらしく、持参したフード3食分程度を完食。我が家の猫たちが最近卒業して使い途なく残っていたロイヤルカナンのマザベビを約50グラムとアイシアの金缶パウチを2袋、ちゅ~る2本をガツガツと平らげる様子を見るに、出会えなかった昨日はご飯にありつけなかったのかもしれない。
食後は満足げに手で顔を洗い、ひとしきり毛繕いした後に人通りのあまりない場所にある駐車場へと去ってゆく。その後をこっそりついて行くと、今夜の寝床はどうやらこの駐車場に決めたようだった。こちらに驚いて逃げ出す前に退散することにした。
・気づいたこと①:地面にばらまいたフードを食べるときと違い、持参したタッパーから上手に食事ができていたことから、野良猫(地域猫)であった期間がそんなに長くないと推察
5月8日
昨日と同じ19時30分に寝床にしていた駐車場へ行くも出会うことはできず。近隣の駐車場や公園の周りを見回るもその姿を発見することはできず、また猫の方から声をかけてくれることもなかった。近隣の迷惑にならない程度の音量で「だいず~だいず~」と名前を呼ぶも反応なし。
お腹を空かせてどこかに身を潜めているのだろうか、何かの外敵に遭遇し追い回されたりしていないだろうかと思うと気持ちが焦る。
5月9日
19時30分、寝床(仮)にもコミュニティ所在地にもその姿がない、「もうどこかに旅立ってしまったのだろうか」という思いに駆られながらも近隣駐車場の車の下をのぞいて回る。ボランティアを証明する蛍光塗料の腕章をしていなかったら、あるいは不審者として通報されてもおかしくないと自らを嘲笑する。
あきらめて帰ろうかという段になると、寝床(仮)からほど近い駐車場の片隅から「にゃぁぁう、にゃぁぁう」と、か細くも意思を込めた鳴き声とともに『だいず』が現れる。
同様に持参したフード3食分をものの数分で完食。幾分緊張状態が解けてきたのか食後の毛繕いが終わると、伸ばした僕の人差し指の先に鼻先をつける【あいさつ】をすることに成功。僕と奥さんを【ご飯の人】として認定してくれたようだ。
僕も奥さんも【あいさつ】を済ませると、少しだけ心を開いてくれたのか、おでこやほっぺを触っても嫌がらないようになってくれた。触りながら耳の状態を確認するが耳ダニは問題なさそうだ。目やにもそんなに出ていないことから、痩せてこそいるものの栄養失調などの疑いも今のところない。
その後、誘うように我々の前を歩き出しただいずは、ときどき振り返り、付いてきていることを確認しながら寝床へと到着。安心して帰ろうとすると「なぁぁん、なぁぁん」と後ろ髪を引くように鳴いた。
[なぁ~ん、なぁ~ん」とお話ししながら一緒にお散歩
気づいたこと
①:人慣れの早さや寂しさを声に出して伝えてきたことから、やはり以前は誰かに飼育されていたことを確信
②:耳や目の状態から栄養失調などの疑いはとりあえずなし
そうなると①の理由から今後は保護する方向で動いた方がいいかもしれないねと、奥さんと話しながら帰宅。迷い猫情報を見てみるがやはり登録はなし。
※猫どうしでは鼻と鼻をくっつけるのがあいさつで、「敵意のない」ことを証明するための行動とも言われています。人間の場合は所見の猫には指先でこのあいさつをすることができます。お試しあれ。
5月10日
19時30分に寝床をちらっと見て不在を確かめてから、昨日ご飯をあげた駐車場に向かうと駐車中の車の下から鳴いて「ここにいるよ」と教えてくれた。
ガリガリに痩せているのは相変わらずで、日中もといた場所に帰ろうと歩き回っているのかもしれないと勝手に想像する。ガツガツした食いっぷりも変わらずで、我々以外のえさやりさんには認知されていないようだ。
食事の最中、背中に触れるが特別いやがる様子なし。昨日までのあの緊張状態からは解放されたようで、のどをゴロゴロとならしながらおいしそうにご飯を食べる。食後の毛繕いの後に指先であいさつを交わし、おでこをなでる。ここまでは昨日と同じ流れだ。
明らかな変化を見てとれたのはそのあとのこと。
おでこをなでたその瞬間、足を踏ん張って頭を僕の手に押しつけてくるではないか。そうだ。【甘えんぼモード】に入ったのだった。
いざ保護するというときのためにも、触っても(あわよくば抱き上げても)嫌がらないように距離を詰めておきたいねと話していたところだったので、これをチャンスとばかりに思う存分甘えてもらう。
のどを鳴らして甘えてくる【だいず】、とてもかわいい
この日は抱き上げるには至らず、そのあばらや背中のごつごつを触って確かめることができた程度だったが、大きな進歩であることに違いない。
寝床までの数十メートルを一緒にお散歩して別れを告げる。帰宅後、迷い猫検索するもそれらしき登録はない。
5月11日
19時30分、駐車場(食事場所)にて食事→毛繕い→あいさつ→甘えんぼモード→なでなでまでの一連の流れが定着しつつある。この順応力の高さ、賢い猫なのだろう。
なでなでの最中にあることに気がついた。だいずの後ろ足の内側に怪我したような傷があることを発見したのだった。人間でいうひざのあたりだろうか。歩行にぎこちなさがなかったため気づくのが遅くなってしまったようだ。
嫌がることを覚悟して抱きかかえると、ほんの少しの時間ではあるけれど抵抗せずに抱かれてくれて、足の傷をちらっと見ることができた。
すると同じ足の上の方(内ももあたり)に5センチ四方に毛がなく、その中心にひざのものよりも大きな傷(一瞬なので不明だが手術跡のようでもあった)がある。舐め下しによって毛がはげている。
気づいたこと
①:ひざの内側部分に生傷を発見
②:ひざの上の内もも部分に大きな傷跡を発見
傷を負っている以上、このまま放置はできない。保護しなくてはならないことが決定づけられた瞬間でもあった。
おわりに
今後は①迷い猫情報のチェックと②自分たちの存在に慣れてもらうことを継続していき、③保護して怪我の治療をするところまで速やかに移行できればと考えています。
つづく
記録を簡潔に記したため堅い文体ですが、実際には切羽詰まった緊迫した空気感ではなく「だいずちゃん、かわいいねぇ」なんて言いながらやってます。なぜなら我々ボランティアの方が緊迫した空気を出すと、賢い猫はそれを察して身構えてしまうからです。それに(不謹慎といわれたらそれまでですが)1匹の猫の、だいずの幸せに働きかけができることは猫を愛する者として嬉しくもあり誇らしくもあるのです。