だいず捕獲作戦【5月18日】~人と猫の関係を想う~
昨日の【だいず捕獲作戦】の興奮から醒めやらぬまま翌日の土曜日を迎えました。平日は仕事があるため野良猫を保護するチャンスは僕たちにとってはこの土日だけということもあり、『今日こそは無事に保護してあげたい』と意を強くします。
もくじ
我が家の猫たちのかかりつけの動物病院が日曜休診のため、本日(土曜日)駆け込めるタイミング(夕方5時くらい)でなんとか捕獲できないものかな~と思いつつ行動を開始です。
今日の作戦
①朝10時くらいにごはん持参で見回りして、遭遇できたら捕獲トライ
②夕方4時くらいから『置き餌』の見廻り&遭遇できたら捕獲トライ
③上の2つともダメだったら夜7時頃から見廻り&捕獲トライ
可能性がいちばん高いのは③ですが、動物病院に連れていくことを考えると①か②で捕獲したいところ。
今週を逃すと、またチャンスが巡ってくる1週間後の土日までの間に【だいず】がふらっとよその地域に旅立ってしまう可能性もあるため、③の場合でも遭遇できれば捕獲することに作戦を変更しました。日曜日も診察してくれる動物病院(かなり遠方)を発見したのでそこに連れて行こうという計画です。
作戦①朝10時~
結論からいうと失敗です。時間をかけて近隣を見て回ったもののその姿を確認することはできませんでした。
作戦②16時~
こちらも失敗に‥。もし『置き餌』があったら地域猫にはかわいそうだけど、いったん片付けさせてもらう予定でしたが、幸いなことに『置き餌』はなし。
まだまだ日が高く暑いくらいの陽気だったので、どこかの茂みにでも潜んでいるのか活動している猫の姿を一切見ることはなかったのでした。
作戦③19時~
いつもだいずにご飯をあげていた時間でもあることから遭遇できる可能性が高いと気合いを入れて出発します。
毎日ご飯をあげていた駐車場に向かう前に『置き餌』をチェック。今日は来ていないようで『置き餌』はなし。いい兆候です。
駐車場に到着すると隣接する隣の駐車場から小走りに近寄ってくる【だいず】の姿があるではありませんか!
お腹が空いているらしく「なぁ〜お、なぁ〜お」と細くて高い声で鳴きました。
まずは持参したご飯でたっぷりとお腹を満たしてもらうことにします。
奥さんをちらっと見ると僕と同じように、緊張していることが伝わります。ですがそわそわしたり焦ったりすると猫にもその違和感が伝わって場合によっては逃げてしまうため、あくまでも平常心を意識します。「君に対してなんの興味もないんだよ」という風を装います。
さて、ご飯を食べ終えただいずはいつものように(待ちに待った)甘えん坊タイムに入ります。捕獲に使う洗濯ネットも上着のポケットに忍ばせています。抜かりはない。
できれば腹ばいになるくらいまで警戒心を解いておきたかったですが、このチャンスを逃すまいとおもむろにネットをうなじのあたりに忍ばせます。
そこであることに気づく僕。
「‥あれ?もしかしてこの洗濯ネットじゃだいずの身体おさまらなくね?」
そう心の中で呟きつつうなじをネット越しにつまみます。ですが背に腹は変えられません。強行突破あるのみです。
その瞬間、抑えていた焦りの感情がお鍋が吹きこぼれるかのように溢れ出します。
ですが当のだいずは何かを察した様子もなくのどをゴロゴロさせ身を任せてくれています。
奥さんが頭を、僕がお尻の方をネットに収める算段です。小さな洗濯ネットにその身体を納めることに成功すると、ファスナーを閉める間にもたついて逃げられてしまうイメージを同時に描いた僕らはとっさにネットの口を握ってそっとだいずを抱きかかえます。
そこで初めて自分が捕獲されるのかもしれないと思い至っただいずは足を踏ん張って抵抗する様子を見せましたが、それも一瞬のことですぐにおとなしくなってくれました。
そしてファスナーが開いたままの洗濯ネットを空っぽのリュックへとそっと入れていきます。「だいず、こわくないよ」と声をかけ続けることも怠りません。リュックのファスナーを閉め、無事に保護ができたことを安堵すると同時に押し殺していた緊張が押し寄せ、手がガクガクと震え出します。こんなに心臓が早く鼓動したことはかつてないほどです。
足早にその場を後にし、だいずを隔離部屋に準備したケージの中に。こちらの緊張とは裏腹にきょとんとしています。人に飼われていた時のことを思い出したのか、すでに平常心を取り戻している様子です。しばらく様子を見ていると、つい先ほどお腹いっぱいごはんを食べたためか眠そうな顔になってきたのでお休みを告げ、今日の活動は終了となります。
だいずを無事に保護することに成功したのです。
用意したケージにすぐになじんだだいず
粗品っぽく「寝方が独特!」
今後の流れ
①動物病院に連れて行き、
・ノミやダニの検査&駆虫
・体内の寄生虫の検査&駆虫
・足の怪我の診察&治療
②家慣れ、人慣れをしていく
③先住猫たちとご対面、お互いに慣れてもらう
③まで希望的観測で1ヶ月くらいでたどり着ければいいなと考えています。お外でつらい生活をしてきた分、これからは愛情をたっぷり注いでピッカピカにして暖かい布団とおいしいご飯で満ち足りた生活をしてもらいたいものです。
現段階では里親を募集することはせずに、うちの子としてともに暮らしていく方向で進めていこうと思っています。
もちろんその課程のなかでもとの飼い主からコンタクトがあれば(ほぼ100%に近い確率でないと思いますが)面談、環境改善のための指導などをしたうえで元いたお家に帰すことも検討しなくてはなりません。
人と猫の関係を考える
駆け出しのボランティアである僕たちにとって今回現れた【だいず】は保護を成功させるためのハードルが低かったことも幸運と言わざるを得ません。人間に対して警戒心や恐怖心を強く持つ猫の場合、保護は忍耐力を必要とします。野良猫の保護活動をしておられる団体や個人のボランティアの皆さまにはただただ頭が下がる想いです。
折に触れて書かせていただいていることではありますが、『伴侶動物』であり『愛護動物』である猫の幸せを守るのは人間の責務だと考えています。遠い過去、野生でのみ生息していた山猫を愛玩用、害獣対策のため『伴侶動物』としてともに暮らすようになってから今なお、人と猫の関係性は続いています。
しかし、一部の心ない人間による遺棄や、動物をモノのように扱う一部のペットショップが売れ残りの仔猫を処分しているという話を耳にすることもあるのが悲しい現実です。不幸な猫を増やさないことへ向けた活動は、モラルや思いやりを育み、回り回って僕たち人間の「豊かさ」に直結してくるのです。
・野良猫を増やさない
・保健所からの猫の救出
・野良猫は保護してTNRを施し地域猫として管理
・人慣れができそうな保護猫は里子として飼い主をさがす
・里親として保護猫を迎え入れる
・地域猫えさやりボランティア
これらの活動が偏ることなく行われることが重要です。たとえ保健所から猫を救い出せる団体が充実していたとしても、遺棄が横行していては意味がないのです。
すべては『愛すべき猫』のために。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回、野良猫の保護に直面して東京都内で最大の保護団体「東京キャットガーディアン」著による出版物『野良猫の拾い方』を読み勉強させていただきました。必要な情報が簡潔に豊富に載っているので興味のある方は読んでいただきたい本です。↓公式HP↓
つづく